日々、想うことを徒然に。
日々、紐を結ぶその連続した動作の流れの中に想うことがある。
ひとつは、ひと結び ひと結び 紐を結ぶ度、創り手の持ち得るすべての情報が込められるということ。
それは想いであり、思想であり、感情であり、煌めく感性であり、
そして、誰かに繋げる祈りであること。
チカラ強くギュッと紐を引き締めるその瞬間、それらは込められる。 『結び』には、その人間の人となりが表れる、ということ。
(ですが、結んでる最中は没頭している為、何かを“込めている”余裕も意識もありません)
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ふたつめは、今、このわたしが『結ぶ』という行為を成している瞬間の背景にある繋がりのこと。
月麻にとって大麻とは何か、を教えてくれた方が『結び』についてそっと伝えてくれたこと。
すべての事柄には“背景”がある。
わたしの手元にやって来た天然石ひとつとっても、ここまで来るまでに様々な人の手を通して来たということ。
鉱山から石を採掘する人がいて、その石を研磨する人がいて、形になったその石を買付けする人がいて、バイヤーから仕入れたその石を売る人がいて、、とザックリ云ってもここまででも何人もの人がその石に関わっていて。
そして、わたしの手元にやって来たその石はアクセサリーとなってエンドユーザーである人の元へ。
この背景こそが、『産霊』であり『結び』なのだと。
ひとつの事象やモノゴトやモノが生まれるその背景には必ず、幾つもの繋がりが存在していること。
その幾つもの“繋がり”が存在しているからこそ、生まれるモノがあるという本質。
ひとつの何かが生まれるまでのその背景にある物語り。
まさに『産霊』そのものである。
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みっつめは、『結び』は紐だけではなく、様々を結ぶ、ということ。
月麻は普段、紐を結ぶことをソウルワークとして暮らしているけれど、その創作活動の中で、ひいては結びのある暮らしそのものの中で、結びは決して紐だけを結う行為に留まらないと感じることがある。
結びを始めてからのわたしには多くの人との繋がりが生まれた。
そして、多くの場所との繋がりも生まれた。
もっと云えば、人と人とを繋ぐことも自然とするようになった。
紐を結ぶという行為が、結果として様々を結んでいたという事実を目の当たりにすると、わたしは結びに対して感謝しかないし、結びがもたらしてくれた豊かさや幸せを結ぶアクセサリーに込め、世界に還元してゆきたいと想う。
ありがとう。
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以外、抜粋引用。
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《結びの語源》
✴︎『結び』という言葉には語源があるとされ、それは『産霊(むすひ)』という言葉から来ているという説がある。
その『産霊』とは、日本の神道における重要な概念であるということ。
『産(むす)』は“生じる”、『霊(ひ)』は“神秘的”、“霊的な働き”を示している。
つまり『産霊』とは、“天地万物を生み出す霊的な働き”のことを云う。これは古くから受け継がれて来た日本の信仰心とも。森羅万象に神が宿るという考えの根幹をなすものである。
そしてもうひとつは、むすびには『水を掬ぶ(むすぶ)』という意味もあるという。
水を両手のひらで掬って(すくって)飲む動作を『水を掬ぶ』という。日本の古代信仰では水の中に霊魂を入れてそれを人間の体の中に入れることで、“体と霊魂を結合させる”という意味合いがあった。この動作をした者は非常に威力を発揮する、と。
そして、この『掬び』と、なにかを結んだり結合する意の『結び』には深い繋がりがあるという。
というのは、そもそも“ある内容のあるものを外部に逸脱しないようにした外的な形”を『むすび』という言葉で表現したからだ。
水の掬び信仰は今はもう廃れてしまったが、このような動作を今日、『結ぶ』というようになったのだ。
……参考:『結びの宝石』HP、折口信夫『産霊の信仰』
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《結びのこころ》
✴︎日本の『結び』は『物を結ぶ』という以外に、人と人、心と心の関係をも『結ぶ』として表され、特別な意味が含まれています。
例えば結婚式は、男女が結ばれ両家が結ばれる大切な儀式である。
……参考:『平安神宮』HP
✴︎万物に神が宿ると考えられていた古来の日本では、“物の結び目にまでも神の心が宿っている”と考えられていたという。
先人たちの神や仏を敬う心を尊び、すべてのものとあらゆる結び付きに日々感謝して生きてゆきたい。これが『むすび』という名前に込められた思いである。
……参考:『むすび』HP
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《むすびの神様》
✴︎古事記にも書かれている、『むすび』にご縁のある神様のご紹介。
『産霊(むすひ)』は、すべてのものを生み出す御神威(ごしんい・神の威光・神の威力)のことを表している。天地万物を生み出された神に『高皇御産霊神(タカミムスヒノカミ)』・『神皇産霊神(カミムスヒノカミ)』、出産の際に見守ってくださるのが『産神(ウブガミ)』という産霊の神様である。
……参考:『平安神宮』HP